刻みへのこだわり

なぜ私たちは「刻み」にこだわるのか

作業の様子最近は、地域の工務店のほとんどが、木を加工することを「プレカット」と呼ばれる、 コンピューターを使った、機械による加工方法を採用しています

しかし、私たち司建築工房では、(プレカット)を採用しておりません。
その理由をご説明していきます。

当然ですが、木は山の中で育ちます。

山の斜面の北側で育った木と、南側で育った木では、
日の当たり方や養分の取り方が違い、年輪の入り方が変わります。

ですので原木として伐採された後も、その育ち方の違いにより
木の反りや癖の違いが生じます。 日当たりや養分の取り方も違います。

また製材された後も木は生きています。呼吸しているのです。
これが癖となり、反りや伸縮が出てくるのです。

含水率が低い乾燥材でも呼吸します。
この反りや伸縮が、建物にとってプラスに働く事も、マイナスに働く事もあるのです。

この木の癖を見極める。
反りや伸縮の方向を考えて適材適所に配置する。
長年の経験を持つ腕のよい大工が考えながら墨を打ち、その墨線に沿って手作業で、加工する。

これが、「刻み(きざみ)」です。

一方プレカットと呼ばれる、コンピューター入力による加工では、
大工職人の手でコンピューター入力されるわけではありません。
現場での大工経験のない社員がコンピューター入力します。

果たして彼らは木の癖を見極めることができるのでしょうか?

私は過去に在職していた会社でプレカットを一度だけ体験したことがあります。
そのときの経験なんですが・・・

手刻みの接合部とプレカットの接合部

プレカットを終えた材料が現場に運び込まれ、上棟日までに1週間ぐらいの期間があることがありました。

上棟の日がやってきて、現場で材料を組み合わせたとき、、、「あれっ?」一瞬、違和感がありました。 現場に1週間放置されただけで、材料の寸法に狂いが生じたのです。

その当時プレカットを過信していた私は、コンピューターの入力間違いかな?とも思ったのですが・・・
そうではなく、材料自体が伸縮していたのです。

これが手刻みだった場合、完璧にとは言いませんが、大工職人は伸縮の方向をあらかじめ見越して加工してあります。

プレカットにはそこまでの能力はありません。当然、加工し直せる部分は直しました。しかし、建物のこの先を考えると、どうするのだろう?という不安な気持ちを持ちました。

現在のプレカットは自分が経験しところより精度は上がっているかもしれません。 しかし、これを機会に自分が作る住宅にはプレカットは採用しないと決めました。